そもそもSOPとは?
SOPとは、Standard Operating Proceduresの略で、標準作業手順書と訳されます。業務や作業を進めるための手順について詳細に記された文書のことです。SOPによって作業が標準化され、業務の品質を均一に保つことが期待されているのです。すなわち、SOPの通りに作業を進めれば、いつ、どこで、だれがやっても同じ結果が得られることが目的となります。
なぜSOPが必要か?
SOPが重要となる理由は大きく2つあると考えます。
1つ目の理由は、科学における実験・研究の結果について、その信憑性を検討する際には再現性が重要となることです。たとえば、ある研究者が行った実験で非常に良い結果が出たとします。後日、全く同じ条件・方法で別の研究者が実験を行っても一向に同様の結果が得られない場合、その研究結果は再現性がないものとして信憑性が疑われます。
2つ目の理由は、科学的な実験・研究の多くは“比較”をするためです。すなわち、研究者が注目しているもの(実験群)と比較対象となるコントロール(対照群)とを比較するデザインが多いのです。このとき、注目している因子以外がそろっていない場合、比較結果の意味が失われてしまうリスクがあるのです。たとえば、ある降圧剤を飲む場合と飲まない場合で実際に血圧は変化するか?という研究において、飲む場合は朝一番で座って血圧測定し、飲まない場合は昼に寝て血圧測定してしまうと、単純に飲む場合と飲まない場合を比較しているだけではなく、座った場合と寝た場合、朝と昼も比較していることになり、測定の結果として血圧に差が見られても、何による差なのかはわからなくなります。
つまり、実験・研究においては、注目している因子以外は同じ条件にそろっていてほしいのです。
SOPは誰のため
SOPは実際に作業を行う人のための文書だと私は考えます。くどいようですが、SOPの通りに作業を進めれば、いつ、どこで、だれがやっても同じ結果が得られることを期待しているのです。これは科学的な信憑性を確保するために必要だと考えるからです。 この観点から、次のようなSOPは悪い例だと思います。
- 長文で読みづらい、読む気にならない。
- 難しい表現で文章が書いてある。
- 複数の解釈ができてしまう。
- 専門用語や一般的ではない略語が随所に使われている。
- 作業を一連の流れで追えない。
逆に言うと、これらをひっくり返せば、良いSOPになると思います。
- 短い文で簡潔に読みやすい。
- なるべく簡単な表現で書かれている。
- 記載内容が整理されている。
- 略語や用語が明確に定義されている。
- 記載内容に沿って、ステップごとに作業が進められる。
SOPができた!で終わりじゃない
だいたいの物事は、始めることや作ることよりも、継続することや維持することの方が難しいのです。SOPにも同じことが言え、作った!という達成感で終わってしまい、その後は読むこともあまりなく、ただ保管される・・・なんて本末転倒な事が起こりがちです。どんなに慣れた作業においても、常にSOPを見ながら作業する。そして、気づいたことがあれば見直しと改善を繰り返しチューンナップしていくことも重要だと思います。
良いSOPを目指して
これまでにもSOP作成を支援させていただく機会がありました。作成するにあたり「分かりきっていることまで、わざわざ文書にする必要があるか?」「定義なんていちいち書かなくても、そんなの皆知っていること。」といったご意見や、こちらから「なぜチェックは2回なのですか?」と質問すると「前からそうだったから」といったご回答をいただくこともありました。
「あの人にしかできない」から「誰にでもできる仕組みを考えられる人」へのパラダイムシフトも大切なのだと思います。