本屋さんを散策していて「自己肯定感」と言うキーワードが少し流行っているのかなぁと眺めながら、改めて「認知バイアス」はなかなか手強いと感じました。本日はこのことについて考えてみたいと思います。
調査結果とその解釈
例えば、ある本に、以下のような調査結果が記載されていたとします。
成功者1000人を対象としたヒアリングにおいて、967人が高い自己肯定感を有していることが判明した。
この結果を目にして、多くの読者は以下のような結論に至るかもしれません。
- 成功者は自己肯定感が高い傾向にある。
- 自己肯定感を高めることが成功への近道である。
しかし、ここで立ち止まり、より深く考察する必要があります。この調査結果には、重要な視点が欠けている可能性があります。
見落とされがちな視点
この調査結果を正確に理解するためには、以下の点について考慮する必要があります。
- 残りの33人の成功者の自己肯定感は高くなかった。
- 成功していない1000人を対象とした場合、自己肯定感の高さはどのような分布を示すのか。
これらの疑問点を考慮せずに結論を導き出すことは、不完全な情報に基づく判断につながる恐れがあります。
強い味方:クロス集計表の活用
より客観的な分析を行うために、クロス集計表を用いてデータを整理してみましょう。
| 成功者 | 非成功者 | |
| 自己肯定感:高 | 967 | ? |
| 自己肯定感:低 | 33 | ? |
この表から明らかなように、現状では非成功者に関するデータが欠如しています。このような不完全なデータセットから結論を導き出すことは、科学的アプローチとしては不適切なのです。
何らかの結果を考察する時には、クロス集計表をイメージすることを習慣にするのはとても有益だと思います。
相関関係と因果関係の区別
クロス集計表を使ってそれぞれの分布を把握し、何らかの傾向がありそうだとして、もう一つ気をつけなければならないことがあります。それは、相関関係と因果関係の違いを意識することです。
- 相関関係:二つの変数間に何らかの関連性が見られること
- 因果関係:一方の変数が他方の変数に直接的な影響を与えていること
例えば、ある都市でアイスクリームの売上と犯罪発生率に正の相関関係が見られたとします。しかし、アイスクリームを売れば売るほど犯罪が多発する、、、とは考えられませんし、アイスクリームの販売を中止すれば犯罪が減ることも期待できません。(ちなみにこれは夏季または気温上昇とともに両者が増加するという第三の要因[交絡因子]によるものかもしれませんね)
同様に、自己肯定感と成功の間に相関関係が見られたとしても、それが直接的な因果関係を示すとは限りません。むしろ、成功したことによって自己肯定感が高まった可能性も考えられるのです。
逆転の発想:批判的思考の実践
相関関係と因果関係の混同を避けるため、以下の問いについて考えてみましょう。
- 自己肯定感が高くても成功に至らなかった事例は?
- 自己肯定感が低くても成功を収めた事例は?
これらの問い、すなわち批判的思考を通じて、自己肯定感と成功との関係についてより多角的な視点で考察することができます。
まとめ:認知バイアスへの対処法
認知バイアスは人間の思考プロセスに深く根ざしており、完全に排除することは困難です。しかし、以下の点に注意を払うことで、より客観的な思考を心がけることができます。
- データの全体像を把握する:部分的な情報だけでなく、全体的な文脈を考慮する。
- 相関関係と因果関係を区別する:二つの事象間の関連性を慎重に分析する。
- 逆の視点からも考察する:自身の仮説に反する可能性についても検討する。
最初の例についても「自己肯定感を高くすることで、人生は良い方向に進む」といった漠然とした先入観があるからこそ、これらの記事もストンと腑に落ちる、つまり認知バイアスに陥りやすいのだと思います。
おわりに
「思い込み」「先入観」といった認知バイアスは本当に手強いです。人間である以上は不可避だと言っても過言ではないかもしれません。だからこそ、情報を見るときには認知バイアスを意識し、より客観的な視点を保ち、適切な考察をすることができる人材は貴重な存在になります。
このような批判的思考をする姿勢は、データマネージャーの成長においても非常に大切なことだと思います!
あれ、批判的思考をするデータマネージャーは成長するのか、成長したデータマネージャーには批判的思考をする人が多いのか、、、手強いですね認知バイアス。。。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。