工程管理もsimple is best – エラーを減らすためのバランスを考える

現代のビジネス環境では、効率性と精度が重要視されます。しかし、工程を細分化し過ぎたり、複雑化させたりすることで、実際にはエラーのリスクを増やしてしまうことがあります。「simple is best」という原則を工程管理にも適用することで、エラーのリスクを減らし、効率化と安心感のバランスを見つける方法について考えてみましょう。

エラーのリスクと工程の関係

工程が多いほどエラーのリスクは増加します。人は必ず間違えます。したがって各工程における一定のエラー率は必ず存在します。そして各工程でのエラーが積み重なり、最終的な成果物のエラーのリスクとなります。このことから、工程が増えれば、単純にエラーのリスクも増えることになります。

また、複雑な工程は、理解や実行の難易度を高め、各工程でのエラーの発生確率を上げます。

「工程の増加=エラー減少」の誤解

工程を増やすことでエラーが減ると考えがちですが、上述したエラーのリスクと工程の関係を考えると、これはしばしば誤解に基づいていると感じます。複数の確認ステップを設けることは、一見安全に思えますが、それ自体が新たなエラー源になることもあり得るのです。

「ダブルチェック」の価値

とはいえ、「ダブルチェック」はセーフティーネットとしての価値があります。これは、エラーを見逃さないための保険のようなものであり、最終的な成果物の品質を保証するための重要な手段です。後工程にダブルチェックがあることで、前工程の担当者は間違えても大丈夫だという安心感を持ちます。そして、その安心感がエラー率を下げることにつながります。(人間は不思議なもので「絶対に間違えるなよ」と言われると間違えやすく、「間違えても大丈夫だよ」と言われると間違えにくくなる傾向がありますよね)

効率化と安心感のバランス

このように、工程管理においては、効率化と安心感のバランスが非常に重要です。過度に複雑な工程はエラーを招きますが、適切なセーフティーネットを設置することは、担当者が安心して作業に取り組める環境を提供します。このバランスを見つけることが、最終的な成果物の品質と生産性の向上に繋がります。

同じことを考えている人がいた!

日々の業務をする上で、筆者は上述のようなことを考え、この考えを他の人にも伝えたいなぁと思いながら参考資料を探しているとき、偶然「ルッサーの法則(Lusser’s Law)」に出会いました。ルッサーの法則とは、信頼性工学における原則の一つで、主に航空宇宙産業で参照されます。この法則は、ドイツの航空技術者であるロバート・ルッサー(Robert Lusser)によって提唱されたもので、以下のような内容を指します:

  • システムの信頼性は、その構成要素の信頼性の積に等しい。
  • システムを構成する部品が多ければ多いほど、また、それらが複雑であればあるほど、システム全体の信頼性は低下する。

簡単に言うと、システムが複雑になるほど、また部品が多くなるほど、故障の可能性が高くなるということです。これは、各部品の信頼性が高くても、多数の部品が組み合わされることで全体の信頼性が低下するという直感的な理解に基づいています。ルッサーの法則は、設計段階でシステムの簡素化を心がけ、不必要な複雑さを避けることの重要性を強調しています。この法則は、特に安全性が極めて重要な航空機や宇宙船などの設計において、信頼性の高いシステムを作るための指針となっています。システム設計者は、この法則に従って、信頼性を確保しつつも、できるだけシンプルで効率的な設計を目指す必要があります。

この法則を見たとき、時代や場所が離れていても同じことを考えている人がいることに感動しました。

時には思い出そう「simple is best」

工程管理において「simple is best」を心掛けることは、シンプルさが最終的な成果物の品質を高め、エラーのリスクを減らす鍵であることを意味します。一方で、適切なダブルチェックなどのセーフティーネットを設けることにより、担当者は安心感を持って効率的に作業を進めることができます。工程数や複雑さの最適なバランスを見つけ、品質と生産性の向上を目指しましょう。

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