改めて「文書化」の基礎知識

データマネジメント計画書(DMP : Data Management Plan)とか標準業務手順書(SOP : Standard Operating Procedures)など、重要と言われる文書が身の回りにはたくさんあります。しかし、これらが形骸化し、計画書を作っておくことが目的となってしまう「作るために作る」状況になっては意味がありません。そこで今回は、改めて計画書や手順書、そして報告書について考え直してみたいと思います。

そもそも「計画書」とは

計画書は、あるプロジェクトや活動における目標達成のための「計画」を示した文書です。この文書には、目標の設定、達成のための大まかな方針やスケジュール、必要なリソース、予算などが記載されます。計画書は、プロジェクトや活動の全体像を俯瞰するために用いられ、関係者間での共有認識や、外部への説明資料として活用されます。

特徴

  • 目標と達成するための方針が中心となる
  • 全体的なスケジュールや予算などが記載される
  • 関係者(ステークホルダー)間での合意形成や調整のためのツールとなる

そもそも「手順書」とは

手順書は、特定の作業やプロセスを実行するための具体的な「手順」を詳細に記述した文書です。この文書では、必要な「材料」や「ツール」、「作業の手順」、「注意点」などがステップバイステップで説明されます。手順書は、作業の正確性(ミスの減少)や効率を確保するとともに、作業者が参照することで、品質の均一化(標準化)および再現性を目指します。

特徴

  • 具体的な作業手順を明記する
  • 必要な「材料」や「ツール」、「作業の詳細」が記載される
  • 作業の標準化や品質管理のためのツールとなる

「計画書」と「手順書」は別物?

上述のように、計画書は「何を目指し、大まかにどのように進めるか」を示し、プロジェクトや活動の方向性を定めるために用います。一方、手順書は「具体的にどのように作業を行うか」を示し、作業の正確性、効率化および標準化を目的として使われます。つまり、計画書が「目標と方針」を明確にする文書であるのに対して、手順書は「実施する方法」に焦点を当てた文書と言えるでしょう。

それでは、必ず別々に存在しないといけないものでしょうか?計画書と手順書を一つに統合することは、プロジェクトやその目的によっては合理的な選択となる場合もあると考えます。しかし、その場合も利点と欠点がありますので、以下の点を考慮して検討する必要があります。

統合することの利点

  1. 一元化された情報: 全ての関連情報が一つの文書にまとまるため、情報の散逸を防ぎ、関係者が必要な情報を迅速に参照できます。
  2. コミュニケーションの効率化: 計画と手順が一つの文書に記載されているため、関係者間でのコミュニケーションがスムーズになり、誤解や情報の齟齬を減らすことが可能です。
  3. プロセスの一貫性: 計画から実行までのプロセスが一つの文書で網羅されるため、プロジェクトの一貫性が保たれやすくなります。

統合することの欠点

  1. 複雑さの増加: 計画と手順を含む文書は長文かつ複雑になりがちで、特に大規模なプロジェクトでは文書の管理や更新が困難になる可能性があります。
  2. 関係者の利用しやすさ: 手順書は作業者が直接参照するためのものであり、計画書はより高いレベルの戦略的意思決定に関わる情報を含むため、これらを一つにすると、特定の情報を探す際に不便を感じる場合があります。
  3. 目的の違い: 計画書と手順書は異なる目的で作成されます。一つの文書に統合することで、それぞれの文書が持つべき明確な焦点が失われる恐れがあります。例えば、実施方法や手順は日々の改善提案などにより頻繁に更新されますが、目的や方針が日々更新されることはありません。

計画書と手順書を一つに統合するかどうかは、プロジェクトの規模、関係者の数、実行する工程の複雑さなど、多くの要素に依存します。小規模なプロジェクトや比較的単純な作業の場合は、一つの文書で管理する方が便利な場合があります。しかし、大規模で複雑なプロジェクトでは、明確な役割と目的を持った複数の文書を用いた方が、全体の管理や実行がスムーズに行えることが多いでしょう。いずれにしても重要なのは、文書がプロジェクトや作業の進行において、最大限の効果を発揮できるようにすることです。

ちなみに「報告書」とは

報告書は、あるプロジェクト、活動の結果や成果をまとめて記録するための文書です。報告書の主な目的は、実施された作業や得られた結果についての詳細な情報を提供し、それに基づいた分析や評価、そして今後の提案を行うことにあります。

報告書の目的

  • 情報の共有: プロジェクトや活動に関わる人々に、実施内容や成果に関する情報を提供します。
  • 成果の文書化: 実施した活動や得られた成果を正式な記録として残し、外部への説明資料となります。
  • 評価と反省: 実施された活動の効果を評価し、改善点や学びを明らかにし将来への参考にします。

つまり報告書は、プロジェクトや活動の透明性を保ち、内部および外部の関係者とのコミュニケーションを促進するツールであるとともに、品質保証のためのツールです。

以上は筆者の主観によるものですが、ご参考になれば幸いです。

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